経営環境の変化を踏まえた当社の機会認識
当社は、DX推進を単なる業務のデジタル化や効率化にとどまらず、事業の持続的成長とサービス価値の向上を実現するための経営変革として位置付けており、その方向性を示す経営ビジョンを策定しています。
当社のDX推進に向けた経営ビジョンは、データおよびデジタル技術を活用し、エレベーター保守・点検・修理業務における安全性・信頼性をさらに高めるとともに、属人的になりがちな技術やノウハウを組織全体で共有・継承できる仕組みを構築することにあります。
これにより、経験年数や担当者に依存しない安定した業務品質を実現し、顧客に対する提供価値の向上と、働きやすい職場環境の整備を両立させることを目指しています。
また、DXを通じて現場対応力の底上げや人材育成の高度化を図り、独立系保守会社としての強みである柔軟な対応力と高い技術力を一層強化することで、変化する競争環境においても選ばれ続ける企業となることを経営ビジョンとして掲げています。
DX推進に向けた経営ビジョン
「お客様の“安全・安心”をさらに高めるため、私たちは 長年蓄積された経験・データ・技術をデジタル技術と融合し、 新たな『高精度で先進的なサービス』を提供します。」
我々は、長年にわたり現場で蓄積してきた経験、技術、データといった当社の強みを、デジタル技術と融合させることで、これまでにない高精度で先進的なサービスの提供を目指しています。保守・点検・故障対応といった基幹業務において、情報処理技術およびデータ活用を積極的に取り入れ、業務の高度化・効率化を推進しています。特に、技術者個人の経験や勘に依存しがちなノウハウをデジタル化・可視化し、データとして蓄積・共有することで、業務品質の平準化と対応力の向上を図っています。
また、蓄積された作業記録や対応事例、点検データを人材育成や教育に活用することで、技能継承の効率化と育成期間の短縮を実現し、技術者一人ひとりの成長を支える仕組みづくりにも取り組んでいます。
こうした取り組みを通じて、業務プロセスやサービスの変革にとどまらず、組織文化や働き方そのものを見直し、企業全体を新たな価値創造と持続的な事業成長に向けて進化させていくことが、京都エレベータのDXです。
京都エレベータのDX「中核戦略」
当社は、以下の方策をDX推進の中核戦略として位置付けています。
故障診断AIシステムの開発、導入
過去の故障履歴、エラーコード、作業記録等のデータを活用し、既存AIシステムにアップロードすることで、現場作業員が迅速かつ的確に原因を把握できる仕組みを構築します。これにより、対応時間の短縮、修理品質の均一化、顧客満足度の向上を図ります。
エレベーターの学校
現在実施している同業他社向けのエレベーター研修についても、内容および指導体制のさらなる高度化を進め、実践的かつ質の高い教育機会を提供することで、エレベーター業界全体の技術力と安全水準の向上に貢献します。
「Made in Kyoto」ブランドの確立
地域企業の持つ伝統文化・伝統工法とわが社の技術力と品質を融合し、京都ならではの意匠を提供します。ロボットやデジタル技術を搭載した近未来型のエレベーターの提供で、地域密着型企業としての価値を発信します。
業務効率化
- クラウドサービスや業務アプリケーションを活用し、事務業務・報告業務の効率化を進めます。
- 現場業務においては、モバイル端末等を活用したペーパーレス化を推進し、業務負担の軽減と情報共有の迅速化を図ります。
人材育成基盤の整備
eラーニングや動画教材を活用し、若手からベテランまで段階的に学べる教育環境を整備します。
DX推進体制と人材育成について
京都エレベータ株式会社では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を全社的に推進するため、DX推進室を中心とした体制を構築しています。
ITベンダー・PM
※推進体制図
DX推進室は、各部署と連携しながら業務のデジタル化や改善活動を横断的に支援し、現場と管理部門の双方からDXを推進する役割を担っています。
また、データやデジタル技術を活用して主体的に業務改革を進める「DX推進人財」の育成・拡充にも力を入れています。具体的には、生成AIの活用や課題解決力を高めるeラーニング研修を導入し、社員が自分のペースで学習できる環境を整えています。これにより、業務改善のヒントを日常業務に取り入れやすくしています。
さらに、DX推進室を中心に、社員が自主的に参加できる勉強会や意見交換の場を設け、部門を越えた業務改善の共有や交流を促進しています。加えて、ITリテラシーや情報セキュリティに関する社内研修や理解度確認テストを定期的に実施し、DXを安全かつ継続的に推進できる基盤づくりを行っています。
デジタル技術活用に向けた環境整備について
京都エレベータ株式会社では、DX戦略を着実に推進するため、業務データを有効に活用できるITシステム環境の整備を重要な経営課題として位置付けています。
これまでに事務業務の多くをクラウドサービスやデジタルツールへ移行しており、業務効率化や情報共有の面で一定の成果を上げてきました。こうした既にDX化が進んでいる業務基盤は、当社の強みの一つです。
今後は、この強みを生かし、既存のクラウド環境や業務システムと連携できる仕組みの構築を重視しながら、社内全体の業務改善をさらに進めていきます。事務部門と現場部門のデータを分断することなく、一体的に活用できる環境を整備することで、データに基づいた業務運営を可能にしていきます。
特に、保守・点検・修理といった現場業務においては、作業履歴や故障情報、対応内容などのデータを一元的に管理・活用できるよう、クラウド環境を活用したデータ基盤の整備を進めています。現場作業員が使用する端末と本社システムを連携させ、現場と本社がリアルタイムで情報を共有できる環境を構築することで、情報の分断を解消し、業務の迅速化と品質向上を図ります。
また、現場業務のデジタル化を進める一環として、点検報告書や作業記録のペーパーレス化を積極的に推進しています。タブレット端末の選定・導入を進めるとともに、現場作業員一人ひとりにモバイルプリンターを支給し、必要な帳票や書類を現場で柔軟に出力できる環境を整えています。これにより、作業負担の軽減と記録精度の向上を同時に実現していきます。
DX戦略の達成状況を測る指標と評価の考え方
京都エレベータ株式会社では、DX戦略を実効性のある取り組みとして推進するため、その達成状況を客観的に把握できる複数の評価指標を設定し、DXの進捗および効果を継続的に管理しています。
- (1)企業価値創造に係る指標
(①財務指標) -
売上高および保守契約件数の推移、1件あたりの故障対応コストおよび作業時間、利益率の改善状況
これらの指標については、DX戦略による業務効率化や対応品質の向上が、売上拡大や収益性改善にどのように結び付いているかを確認するために活用しています。 - (2)DX戦略の実施により生じた効果を評価する指標
(②効果指標) -
故障対応時間の短縮率、初動対応での解決率、作業品質の平準化に関する評価、現場業務および事務作業における効率化の度合い
これらの指標を通じて、データ活用やデジタル技術導入が現場業務に与える具体的な効果を評価しています。 - (3)DX戦略に定めた計画の進捗を評価する指標
(③進捗指標) -
業務データの蓄積・整備状況、DX関連システムの導入・活用状況、DX施策の社内展開状況、DXに関する教育・研修の実施状況
これらの指標は、DX施策が計画どおり進んでいるか、また業務や経営にどのような成果をもたらしているかを定期的に確認し、次の改善や施策へとつなげるための重要な判断材料として活用しています。
また、指標や評価の考え方については社内で共有し、全社的な理解と改善意識の醸成に努めています。今後は、取り組みの成熟度に応じて、必要な内容について社外への公表も検討していく予定です。
DX推進に関する情報発信の考え方
京都エレベータ株式会社では、DXを単なるシステム導入や業務効率化の取り組みにとどめず、企業全体の変革を伴う重要な経営施策と位置付けています。そのため、DX推進の方針や取り組み状況について、社内外に対して適切かつ継続的な情報発信を行うことを重要な役割の一つと考えています。
社内への発信
実務執行総括責任者をはじめとする経営層が中心となり、DXの目的や背景、取り組みの方向性について従業員へ丁寧に共有しています。DXによって何を目指し、どのような業務変革を進めていくのかを明確に伝えることで、全社的な理解を深めるとともに、従業員一人ひとりが自分事としてDXに参画できる環境づくりを進めています。
また、日々の業務改善やデジタル技術の活用事例についても、社内で継続的に情報共有を行い、現場からの気づきや改善提案がDX推進に反映される仕組みを整えています。
社外への発信
当社のDXに関する基本方針や主な取り組み内容について、会社ホームページや各種公開資料を通じて発信していく方針です。DXへの取り組み姿勢や方向性を分かりやすく伝えることで、顧客や取引先をはじめとするステークホルダーに対し、当社が目指す価値提供や将来像への理解を深め、信頼関係の強化につなげていきます。
DX推進に向けた課題把握と改善の取り組み
特に、保守・点検・修理といった現場業務においては、長年の経験や個人の判断に依存しやすい業務構造となっていること、業務に関する情報が部署や個人ごとに分散していること、紙媒体による記録管理が多く残っていることなどが、業務効率や品質の平準化を図る上での課題であると認識しています。
こうした課題に対して、当社では関係部門が連携し、実際の業務内容や運用実態を踏まえたうえで、改善すべきポイントを洗い出し、デジタル技術の導入や活用による解決策を段階的に検討・実行しています。
具体的な取り組み事例
- 自己分析の実施:DX推進プロジェクトの一環として、ITコーディネータと連携し、業務およびIT活用に関する自己分析を実施しています。分析結果については、DX推進プロジェクト内で共有・報告し、課題認識の共通化と今後のDX施策立案に活用しています。
- 生成AI活用・課題解決力強化研修:生成AIを活用した業務改善を進めるため、2026年3月1日より研修を社内で実施しています。本研修を通じて、従業員一人ひとりが業務課題を自ら発見し、デジタル技術を活用して解決策を考える力を養うことを目指しています。
サイバーセキュリティ対策の考え方と取り組み
京都エレベータ株式会社では、情報処理技術やデジタルデータの活用を推進するにあたり、情報資産の保護と安定的な事業運営を確保することが不可欠であると考え、サイバーセキュリティ対策を重要な経営課題の一つとして位置付けています。
当社では、情報セキュリティに関する基本方針を定め、社内規程に基づき、情報システムおよび業務データの適切な管理を徹底しています。業務で取り扱う顧客情報や設備情報、業務データについては、利用目的や重要度に応じた管理ルールを設け、安全性を確保した運用を行っています。
具体的な取り組みとして、社内システムへのアクセス権限の適切な設定や管理、業務に使用する端末の管理ルールの明確化、クラウドサービスの安全な利用環境の整備などを進めています。
万が一、情報セキュリティ上のリスクやインシデントが発生した場合には、速やかに対応できる体制を整備し、被害の最小化と原因分析、再発防止策の検討・実施を行うことで、継続的なセキュリティレベルの向上を図っています。


