現在エレベーターは主にロープ式と油圧式の2種類の駆動方式があります。
エレベーターの新設はロープ式が主流になっています。そのため油圧式は今はほとんど無いと思っている方もおられるかもしれませんが、現役で稼働している油圧式はまだまだたくさんあります。
今回は、油圧式エレベーターはどのようにメンテナンスをするのか、点検作業に密着してみました。仕組みがロープ式とは大きく異なるため、点検内容にも違いがあります。ぜひ、ロープ式との違いに注目しながら読み進めてみてくださいね👀
点検札を貼る
まずは点検のお知らせから始めます。ロープ式と同様、各階の乗り場ボタン付近に「点検中」の札を貼っていきます。
ちなみになぜ乗り場ボタン付近なのかというと、エレベーターを利用しようと思ったときに必ず目に入る位置だからです。ボタンを隠すように上から貼るとより効果的です。点検札を貼りながら、走行中や扉の開閉時にいつもと違う音や振動がないかを確認します👀👂
ピット(地下部分)の確認
点検札を貼り終えたら、エレベーターから降りてエレベーターを上の階に移動させます。
1階の乗り場扉を専用の鍵で開け、「ピット」と呼ばれる地下空間を確認します🔍
こちらもロープ式同様、落とし物の有無や水のたまり具合、エレベーターの走行に支障がないかなどをチェックします。
非常ボタンの動作確認
次に、万が一のトラブル時に必要な非常ボタンの点検です。ボタンが正常に作動するか確認します。
遠隔通報装置が付いている場合は、コールセンターへ正しく接続されるかを確認します。会話がしっかり聞き取れるか、ノイズがないか、音量は適切かなど、安全に直結する部分なので念入りに確認します。
塔内での点検
点検員はエレベーターの「カゴ上」に乗って、塔内(シャフト)の点検を行います。
今回点検しているエレベーターは窓ガラスが付いているので、普段清掃ができない窓ガラスの裏側を拭き掃除します。
ピット内に大きな柱のようなものが立ってますね。これは「油圧ジャッキ」と言います。
油圧ジャッキに油が送られると、シリンダーの中からプランジャーが押し上げられて伸びていきます。このプランジャーが押し上げられることでカゴが上昇する仕組みです。
プランジャーとシリンダーの境目から油漏れをしていないかを確認するのが、油圧式ならではの点検ポイントです。
機械室での点検
エレベーターを動かす機械が収められている機械室の点検を行います。
ロープ式の多くは塔屋が設けられてそこが機械室となりますが、油圧式の機械室は屋内にある場合がほとんどです。
機械室には油を溜めているタンクがあります。油の量が過度に減っていないかチェックします。油漏れして油の量が減っていると故障のリスクが高まるので大事な作業です。
モーターからポンプへ動きを伝えるVベルトがすり減ったり亀裂がないか確認します。
わずかな異常が大きなトラブルにつながるため、丁寧な点検が欠かせません。
点検結果の報告書作成
点検が終わったら、作業内容をまとめた報告書を作成します。エレベーターに異常や不具合があったか、どのような点検・清掃を行ったかを記録に残します。この報告書はお客様に提出するだけでなく、会社としても安全管理のために保管しておきます。
最後に、各階に貼った点検札を回収して点検完了です!
以上油圧式エレベーターの点検風景をお届けしました✨